初めまして、
再生可能エネルギー・電気工事業専門セールスコピーライター事務所です。
今回は最初の投稿になるので、私の専門分野である電力の送配電に
ついての豆知識をシェアさせていただきたいと思います。
皆さんは、停電というとどんなイメージがありますか
1年に1回あるかどうかのイメージではないでしょうか
しかし、おじいちゃんやおばあちゃんの若い頃の、昭和の時代には、
よく停電があったそうです。
停電でも「波及事故」は影響が大きく、町全体が停電してしまうことも
あったそうです。
でも最近は、波及事故による停電の話は、あまり聞かなくなりましたよね。
実は、波及事故が起きないのは「保護協調」という仕組みがあるから
なんです。
保護協調というと電気の専門用語で難しいイメージがありますよね。
でも、この保護協調の仕組みは、皆さんのご自宅の配電盤にもあるのです。
そして、意外にも身近なところでその恩恵を受けているのです。
皆さんは、家でうっかり電化製品を使いすぎてブレーカーが落ちて
しまったことはよくありますか。
特に、夏場の暑いときに、エアコンをフル稼働させた上に
電子レンジのスイッチを入れたら「バチン!」とブレーカーが
落ちることはよくありますよね。
このとき、家の電気全てが停電するのではなく、一部が停電するだけで
すみます。
そして、電子レンジのスイッチを切って、エアコンの温度を上げて
再び落ちたブレーカーを上げると電気は使えるようになります。
実は、ここに「保護協調」の仕組みがあるのです。
電気を送る電線には、太さによって流すことの出来る電気の量が
決められていてこれを「許容電流」といいます。
許容電流を超えた電気が電線に流れると、電線の温度が上がり、
最悪の場合、電線が溶けて漏電が発生したり、電線が発火して
火災になることもあります。
これを防ぐためにあるのが、ご存じの「ブレーカー」です。
ブレーカーは、日本語名で「配線用遮断器」といい、流すことが
出来る電流の上限が決められています。
配線用遮断器をよく見ると、10Aや20Aなどの表記がありますが、
この電流を超える「過電流」が流れるとブレーカーが落ちる仕組みと
なっています。
ここで、疑問が出てくるのですが、ご家庭の分電盤にはメインとなる
親ブレーカーがあって、その下に各部屋などに分かれていくつかの
子ブレーカーがあります。
メインの親ブレーカーにも、許容電流を超えると落ちる仕組みがあるの
ですが、落ちるのは決まって、各部屋ごとに分かれている子ブレーカーです。
ここに「保護協調」の仕組みの基本があります。
ブレーカーには、「過電流」を検知してから実際に落とすまでの
「動作時間」というものが設定されています。
保護協調の仕組みは、この「動作時間」を親ブレーカーよりも
子ブレーカーが短くなるように設定しているのです。
つまり、親ブレーカーが過電流を検知するよりも早く子ブレーカーが
検知して、過電流の発生した箇所を切り離すのです。
この動作時間は、原則として、発電所側に行くほど長く設定されて
います。
電気は、発電所で作られて、変電所を経て各家庭や、ビルや工場などの
需要家に送られます。
発電所から、消費地である各家庭や、ビルや工場までには、多くの
安全装置が設けられています。
安全装置が作動して、送電を停止した場合、発電所に近ければ
近いほど停電範囲は大きくなります。
保護協調は、一般家庭やビル・工場などの消費側の安全装置の
「動作時間」を短くして、停電範囲を最小限に留める仕組みです。
保護協調の実際の仕組みは、「動作時間」以外にも様々に行われて、
もっと複雑になります。
この「保護協調」の仕組みにより、過電流や短絡、地絡といった
「電気事故」が発生したときに最小限の事故箇所だけを速やかに
切り離すことにより、大規模な停電を防いでいるのです。
「波及事故」による大規模な停電は、社会全体の大きな損失に
なります。
配線用遮断器を含む保護協調のための安全装置は、正常に動作する
ためには日々のメンテナンスが重要です。
この「波及事故を」防ぐために、一般家庭以外の600Vを超える
高圧で受電するビルや工場などでは、電気事業法により「保安規定」
の作成と「電気主任技術者」の専任による、メンテナンスの仕組み
づくりが義務付けられています。
このように、送配電の仕組みは「保護協調」と日々の「メンテナンス」
によって守られています。
しかしこの送配電の仕組みは、太陽光発電などの「再生可能エネルギー発電」
の普及拡大に伴い、より複雑になり、大きな曲がり角に来ています
再生可能エネルギー拡大に対応して安定した電力を供給するためには、
新しい電力供給の仕組み作りが必要となるでしょう。
再生可能エネルギーの拡大に対応した、将来の新しい電力供給の仕組みに
つきましては、また改めて投稿させていただきたいと思います。
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