前回は、電力の自家消費での消費者側のメリットについて取り上げました。
前回の記事 【再生可能エネルギー発電と送配電システム】 (その2)電力の自家消費の3つのメリットとは?
今回は、電力の自家消費が増えることによる、系統全体のメリットについて見ていきたいと思います。
蓄電池を一般家庭などの需要家に普及させることは、電力系統安定化の切り札となります。
今までは、発電所側での「出力調整」でバランスを保ってきた。
今まで、発電所は、リアルタイムでの電力消費量に合わせて、出力調整を行ってきました。
この場合、季節や時間によって電力が変動します。
冷暖房により夏場と冬場は、需要が多くなり、春と秋は少なくなります。
昼間は需要が多くなり、夜間は少なくなります。
電力会社では、ピーク時の最大電力に合わせて発電所を作る必要があります。
しかし、電力使用量のピーク時とそれ以外の需要の差は、少なければ少ないほどコストは少なくて済みます。
そこで電力会社では、ピーク時の最大電力を少しでも減らすために、揚水式の水力発電所を作り、使用量の少ない深夜電力でダムに水をくみ上げて、昼間に発電をする仕組みを作りました。
次に、深夜電力を安く設定して、使用電力の少ない深夜にお湯を沸かしたり、蓄熱をしたりすることで、昼間の電気使用量を減らしす仕組みを作り、昼夜の電気使用量の差を少なくしました。
その後、2009年に、再生可能エネルギー電力の固定買取制度ができると、太陽光発電が増加し、昼と夜の発電量の差が再び大きくなってきています。
前の記事で述べたとおり、さらに太陽光発電などの再生可能エネルギーの拡大が進むと、発電所での「出力調整」機能の限界を超えてしまいます。
そうなると、太陽光発電などの再生可能エネルギー電力の、受け入れを制限する「出力制御」を行わざるえなくなります。
特に、夏の昼間において発電量が高まると需要を超えてしまい、せっかく作った電気を「捨てる」という勿体ないことも起き始めています。
出力制御が差し迫っている沖縄本島と北海道、四国、九州
日本は、大きく分けて10個の電力系統に分かれます。
出力制御が差し迫っているのが、この10個の系統のうちの、電力需要の小さい系統です。
そして現在、出力制御が最も差し迫っているのは、最も小さい系統である、沖縄本島です。
沖縄本島は、外部と電線がつながっていません。
そのため、本土のように余った電気を、他の電力系統へ回すことができないので、沖縄本島内作った電気は全て島内で消費しなければなりません。
次いで出力制御が差し迫っているのが、本州と比べて、電力需要が小さい北海道と四国と九州です。
出力制御を回避して電力系統の安定化させるためには、現在の電気の供給システムを根本から変える、分散化電源(マイクログリッド又はデジタルグリッド)や、電気エネルギーを水素として蓄える方法があります。
しかし、これらの方法は設備を整えるまでに、それなりの準備期間と費用が必要となります。
そこで差し迫っている出力制御の問題に対応するために、現在の電力供給システムの中で行える解決策が、需要家(ビル、工場や一般家庭)への蓄電池の設置です
つまり、蓄電池を設置して電力の自家消費を行うと同時に、「蓄電池」を「受電調整」のために使うのです。
今まで、発電所側で行ってきた「出力調整」の一部を、需要家側の「蓄電池」で行うのです。
発電所側の出力調整機能の限界を超えた部分を、需要家側の「蓄電池」で調整することで、「出力制御」を回避できます。
2019年問題をきっかけに蓄電池の普及が進むか?
再生可能エネルギーの電力買取制度(FIT)が始まった2009年に、固定買取制度による売電を開始した家庭は、来年2019年に、買取期間が終了します。
いわゆる2019年問題です。
買取期間終了後の価格は、まだはっきりしませんが、大幅に下がることが予想されています。
そうなると、今までのように「売電」しても、元がとれなくなるので、蓄電池に貯めて全部自分で使った方が経済的になります。
2019年問題については、太陽光発電を購入したご家庭に正しい情報が伝わっていない場合も多いようです。
2019年問題について、各ご家庭が正しい選択ができるようにするためには、正しい情報が必要です。
年々複雑になってくる電気の売買の仕組みについても、各ご家庭に正しい情報を伝えて、最善の選択ができるようにする必要があります。
電力の自家消費のために、購入が必要となる蓄電池の種類や性能も様々です。
2019年問題に直面するご家庭が、蓄電池の購入がベストと判断された場合は、そのご家庭の電気使用状況に合った最適な商品を選ぶことが重要です。
各ご家庭が、電気使用状況に合った最適な蓄電池を購入することが、最終的に電力系統の安定化につながります。
電力系統が安定化することで、電力会社の負担が減り、電気料金の値下げも期待出来るでしょう。
当事務所でも、セールスコピーライターとしての立場から、2019年問題に直面する各ご家庭が、最適な蓄電池を選択できるようにお手伝いしていく所存です。
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