【再生可能エネルギー発電と送配電システム】 (その1)現在の送配電システムの抱える課題とは?

【再生可能エネルギー発電と送配電システム】 (その1)現在の送配電システムの抱える課題とは?

今回は、4回目の投稿となります。

このサイトのメインテーマは、題名にもなっている「セールスコピーライティング」です。

今回は、このサイトのサブテーマであり、東日本大震災から重要視されるようになった「再生可能エネルギー発電」について取り上げたいと思います。

再生可能エネルギーの情報は、世の中に溢れているので、私の専門分野である「電気の送配電」という視点から、現在の再生可能エネルギー発電が抱える課題と、解決策について見ていきたいと思います。

まず、送配電の大まかな流れを見ていきましょう。

発電所で作られた電気は、長距離送電による損失を少なくするため、7000Vを超える「特別高圧」と呼ばれる高い電圧で市街地近くの変電所に送られます。

市街地の手前でいくつかの変電所を通った電気は段階的に電圧を下げて、最終的に6000V台の「高圧」と呼ばれる電圧になって、ビルや工場、一般家庭などの需要家に送られます。

ビルや工場では、さらに内部に設置された「変圧器」を通って、460V/200V/100Vと負荷に応じた電圧に落とされます。

ちなみに460Vは「動力」と呼ばれ、モーターを動かすための電圧です。

一般家庭に送られる電気は、家のすぐそばの柱上変圧器で、200V/100Vに落とされます。

ここで注目したいのが、発電所からビルや工場、一般家庭に至るまでの送配電の課程で、「電圧」は7000V以上から100Vまで大きく変化しますが、「周波数」は常に一定であるという点です。

周波数とは、皆さんご存じのとおり、東日本で50Hz 西日本で60Hzの1秒間に電圧の向きが変わる回数です。

発電所から変電所を経てビルや工場、一般家庭にいたるまで、常に一定なのが「周波数」です。

日本の電力供給システムでは、電力会社ごとに大きく10個のブロックに分かれています。

それぞれのブロックで、周波数は常に一定で「同期」しています。

電力の送配電システムの大まかな流れ

発電所
↓ 電 圧:20万V以上の特別高圧
↓ 周波数:50Hzまたは60Hz
変電所(特別高圧を高圧に変換)
↓ 電 圧:6600Vの高圧
↓ 周波数:50Hzまたは60Hz
↓_______
↓       ↓
ビル・工場  柱上変圧器
460V   一般家庭
200V   200V
100V   100V

電力の需要と供給のバランスが崩れて、「周波数の同期」が乱れてしまうと、周波数が変わり、大停電を起こす恐れがあります。

そこで、電力会社では、電力消費を常に監視して電力需要を予測し、バランスが乱れないように発電所で「出力調整」を行って、周波数を一定に保っているのです。

周波数を乱す大きな要因は、電気使用量の変動です。

電気使用量の変動の主なものとしては、昼と夜の電気使用量の変化や、気温の急激な変化による冷暖房使用による変化などがあります。

発電所では、電気使用量の変化に対応するため、発電機の出力を上げたり、普段動かさない発電機を動かすなどして対応しています。

このように現在の電力供給システムでは、各ブロックごとに周波数を一定に保つことによって、安定供給を行っています。

しかし、2009年以降増加している太陽光発電や風力発電などの「再生可能エネルギー」は、電力を安定供給する上で欠かせない「周波数の同期」を大きく乱す原因となります。

2009年の、再生可能エネルギー電力の固定買い取り制度の開始から、従来の発電所からの電力の他に、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー電力が入ってくるようになりました。

日射量によって瞬間的に発電量が変わる太陽光発電や、風量によって発電量が変わる風力発電を受け入れた場合、周波数を保つために、火力発電などでの出力調整の負担が大きくなります。

そして、再生可能エネルギーが一定の割合を超えてしまうと、出力調整が難しくなります。

再生可能エネルギーを含めた
電力の送配電システムの大まかな流れ

発電所:太陽光・風力による出力変動を
↓   出力調整で安定化させる

変電所   太陽光発電  風力発電
↓   (出力不安定) (出力不安定)
↓______↓______↓
↓_______
↓       ↓
ビル・工場  柱上変圧器
460V   一般家庭
200V   200V
100V   100V

現在、再生可能エネルギー発電の普及率は、この「一定の割合」に近づいてきており、その影響で固定買い取り価格が下がってきています。

そして、北海道、四国や九州など一部の管内では、すでにその割合を超えており、再生可能エネルギーの発電量が多いときには、その受け入れを制限する「出力制御」も検討されています。

現在の送配電システムである、大きなブロックで周波数を一定に保つように需要と供給のバランスを保つ方式は、大きな曲がり角に来ています。

今回は、現在の送配電システム抱える課題について見ていきました。

次回は、その問題の解決策の1つである「再生可能エネルギー電力の自家消費」について取り上げていきたいと思います。

次回の投稿
【再生可能エネルギー発電と送配電システム】 (その2)電力の自家消費の3つのメリットとは?

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